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ビタミンB₁が不足すると記憶力が低下し、アルツハイマー病に似た萎縮脳が起こる・東京農業大学

2016.10.24

東京農業大学応用生物科学部バイオサイエンス学科の喜田聡教授らのグループは、ビタミンB₁の不足が海馬を中枢とする記憶能力の障害を引き起こし、その障害のメカニズムが海馬の変性によるものであることを「Bioscience, Biotechnology, and Biochemistry」に公表しました。

ビタミンB₁(一般名はチアミン)は、ヒトにとって必須栄養素の一つであり、体内にはほとんど貯蔵されないため、食物から毎日摂取しなければなりません。
主な機能は、アミノ酸、脂肪、糖質をエネルギーに変換することですが、ビタミンB₁は、神経系の機能維持にも重要な役割を担っており、ビタミンB₁の欠乏により、神経炎や脳組織への障害が生じます。代表的なビタミンB₁欠乏症として、脚気とウェルニッケ - コルサコフ症候群があります。

研究チームは、ウェルニッケ・コルサコフ症候群と同様の慢性的な記憶能力障害を示すマウスを作製して、このマウスの神経細胞(ニューロン)を可視化することで、ビタミンB₁の欠乏による記憶障害の原因が海馬の変性であることを世界で初めて突き止めました。

このマウスの観察より、B₁欠乏によてアルツハイマー病で観られるような脳の変性(萎縮)が起こっており、この海馬の変性が記憶能力障害の原因であることを確認しました。
また、この海馬の障害は、ビタミンB₁の欠乏からの回復後も継続して観られ、海馬の異常は、記憶能力と同じく、永続的であることが明らかとなりました。

今回の研究の成果により、ウェルニッケ・コルサコフ症候群による記憶障害の治療方法の開発や、この疾患による記憶障害の予防法の開発に繋がることが期待されます。
研究の詳細は、東京農業大学のプレスリリースをご確認下さい。
http://www.nodai.ac.jp/upload/43e32222ca2e0c37807e9fa382b85134.pdf

ビタミンB₁が豊富な代表的な食材として、
豚肉、大豆、小麦胚芽、海苔、ごま等があります。
また白米は、ビタミンB₁が豊富なヌカを大部分とり除いているため、精白されていない米(はい芽米、玄米)の方が、ビタミンB₁の摂取にはよいでしょう。

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