ニュース

ホームニュース/硬膜移植によってアミロイドβタンパク質(Aβ)の沈着が促進・金沢大学

硬膜移植によってアミロイドβタンパク質(Aβ)の沈着が促進・金沢大学

2016.07.07

金沢大学の山田正仁教授らの研究グループが硬膜移植後クロイツフェルト・ヤコブ病(CJD)の患者の脳において、アルツハイマー病の原因タンパク質とされるアミロイドβタンパク質(Aβ)の沈着が、硬膜移植によって促進された可能性があると神経病理学国際誌“Acta Neuropathologica”に公表しました。

硬膜移植後CJDでは、孤発性CJDと比較して,髄膜CAAや軟膜下Aβ沈着が有意に多く、その程度は年齢やCJD罹病期間には相関を認めず、硬膜移植から死亡までの期間と有意な正の相関を認められたとのことです。

◎孤発性CJDとは、
プリオン病は正常プリオン蛋白(prion protein: PrP)が何らかの理由で伝播性を有する異常プリオン蛋白に変化し、主に中枢神経内に蓄積することにより急速に神経細胞変性をおこす稀な致死性疾患です。
プリオン病の代表的なタイプである孤発性クロイツフェルト・ヤコブ病(CJD)は1年間に100万人に1人程度の割合で発症することが知られています。

◎髄膜CAAとは、
髄膜の中小血管壁へのアミロイドβの沈着に起因する脳血管障害です。
初期は無症状ですが、徐々に一過性の神経障害、認知機能の低下をきたします。また、脳出血発症前にはすでに認知機能障害があり、徐々に進行するアルツハイマー型の認知障害を呈します。アルツハイマー病の人には96%認められています。

硬膜移植後クロイツフェルト・ヤコブ病(CJD)とは、
日本では、1973-97年の間、脳外科手術などの時に硬膜移植が行われ、1980年代には年間20,000件程度行われていたと推定されています。
その後、硬膜移植後に、クロイツフェルト・ヤコブ病(CJD)を発症する例が多発しました。
硬膜移植後のCJDは,硬膜からのプリオンの感染によって引き起こされたと考えられています。
日本では、これまでに 151例の硬膜移植後CJDの報告があり現在も発症が続いており、世界全体の患者数の6割以上を占めています。


金沢大学研究報告より

戻る