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アルツハイマー病の発症因子アミロイドβオリゴマーを標的とした植物由来の治療薬候補物質を発見(国立研究開発法人 国立精神・神経医療研究センター)

2019.07.03

国立研究開発法人 国立精神・神経医療研究センターの研究グループは、アルツハイマー型認知症の発病の要となるアミロイドベータタンパク質(Aβ)オリゴマーの神経毒性の低減を介して、病態を改善する効果を持つ植物由来の新しい治療・予防薬候補物質を発見することに成功しました。

アルツハイマー型認知症(アルツハイマー病)は、患者数の最も多い認知症疾患です。しかし、まだその治療は対症的なものに留まっています。この疾患においては、脳内に異常タンパク質であるAβが蓄積することが特徴ですが、最近、Aβの集合体であるAβオリゴマーが神経細胞のシナプスなどを障害し、病気の引金として働くことが明らかになってきました。

今回、研究グループは、神経細胞モデルを用いた研究によって、植物成分からAβオリゴマーの毒性を抑制する物質「チロソール」を同定しました。さらに、この物質をアルツハイマーモデルマウスに長期経口投与することにより、シナプス障害や酸化ストレス病態が改善するといった神経保護的効果が現れるとともに、認知障害が回復することを示しました。

すなわち、チロソールはAβオリゴマーの持つ神経毒性を低減することによって、アルツハイマー病の病態を改善する効果を有する治療薬候補物質と考えられます。この研究成果は、アルツハイマー病の治療薬開発において、新たな方向性を開くという点で、大きな意義を持つものといえます。
(国立精神・神経医療研究センターHPより)

このチロソールは天然物質であるため、安全性の高いアルツハイマー病の治療・予防薬候補物質となると考えられています。

国立精神・神経医療研究センタープレスリリース
https://www.ncnp.go.jp/press/release.html?no=462

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